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災害ユートピア――なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)
本, レベッカ・ソルニット
によって レベッカ・ソルニット
5 5つ星のうち 23 人の読者
ファイルサイズ : 18.89 MB
内容紹介 「お互いに助け合い、秩序を持って行動する日本人の姿はすばらしい」と言われる。しかし、実は災害時のそうした行動は、日本人だけではなく、世界中で共通してみられるという。 著者のレベッカ・ソルニット氏は1989年にカリフォルニア州でロマ・プリータ地震に遭い被災している。その経験をもとに、1906年のサンフランシスコ地震から2005年に起きたニューオリンズのハリケーン被害までを取材・研究してまとめたのが本書である。 「大惨事に直面すると、人間は利己的になり、パニックに陥り、退行現象が起きて野蛮になるという一般的なイメージがあるがそれは真実とは程遠い」と著者は言う。「地震、爆撃、大嵐などの直後には緊迫した状況の中で誰もが利他的になり、自身や身内のみならず隣人や見も知らぬ人々に対してさえ、まず思いやりを示す」。災害時に形作られる即席のコミュニティは「地獄の中で」他人とつながりたいという、欲望よりも強い欲求の結果である。災害を例にとり、社会や人間心理の本質に迫っている。 内容(「BOOK」データベースより) 不幸のどん底にありながら、人は困っている人に手を差し伸べる。人々は喜々として自分のやれることに精を出す。見ず知らずの人間に食事や寝場所を与える。知らぬ間に話し合いのフォーラムができる…。なぜその“楽園”が日常に生かされることはないのか?大爆発、大地震、大洪水、巨大なテロ―いつもそこにはユートピアが出現した。『ニューヨークタイムス』2009年度の注目すべき本に選出。 商品の説明をすべて表示する
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震災、ハリケーン、テロ攻撃といった大災害の直後には、見ず知らずの隣人と家族のように支え合う利他主義的なコミュニティが立ちあがる。また、そうやって立ちあがった共同体が柔軟かつ迅速に、人命を助け、必要なものを最も必要としている人間のもとへ調達する機能を果たす。「これこそ人類にとって理想の社会」と思えるような、高潔さと効率をかねそなえたそのコミュニティはしかし、平時に社会を牛耳っている官僚的組織に時間とともにとってかわられ、敵対視さえされるようになる。なぜ私たちは、この「理想の社会」を平時に築くことができないのか。これが著者の問題意識である。東日本大震災の直後に「世界がほめたたえた」日本人の冷静さ、勇気、思いやりの精神などは、サンフランシスコ大地震や、メキシコシティ大地震、9.11の直後にも同様にみられたものである。災害学によると、ほぼすべての災害で、火事場泥棒もパニックも滅多に起きないことがわかっているという。一方で、命令系統の存在しない、まったく水平な組織のスピードと創造性には目を見張るものがあることも実証されている。リーダーなき分散型組織のメカニズムについては、『ヒトデはクモよりなぜ強い』という本に詳しいが、災害後には、既存秩序に縛られないヒトデ型組織があちこちで自然発生する。これは人間社会の自然治癒能力のようなものだろう。一方で、一般市民がパニックに陥ってそれが二次災害を起こす……という不安は、権力層のごく一部が抱く一種の妄想であり、「エリート・パニック」という名前までついている、と本書にはある。福島第一原発事故で、管政権は原発が水素爆発を起こし、放射性物質を出し続けているにもかかわらず事態がコントロール下にあり、数日でおさまるかのような発表を繰り返し、周辺住民の避難が著しく遅れたが、絵に書いたようなエリート・パニックである。東日本大震災は津波の規模があまりにも大きく、原発事故という人災まで併発したため、私たちはいま置かれている状況が特殊であるように感じているが、本書でとりあげられている過去の大災害と符合する部分があまりにも多いことに驚く。ということは、災害の種類にかかわらず、「それ」が起こったあとどのような社会的、心理的現象が起きるのかは、ある程度予想することは可能であり、エリート・パニックおよびそれが引き起こす警察や軍の暴走、被害者への誤解や攻撃も防止することができることも意味している。著者が本書で言いたかったのはまさにこの点だと思う。災害によって生き残ることがさしあたっての第一目的となり、明日の食べ物や寝床の確保に奔走している状況のなかでは、人々は日頃の立場やそこから来る不安などから解放され、驚くほど寛容にも勇敢にもなることができる。平時にそれができないのは皮肉なことだが、本書であげられているメキシコシティの大地震やアルゼンチンの経済危機のように、大災害によって生まれた一時的な一体感を、よりよい社会を求める革命の糸口にできたケースもある。革命と災害との関連性は興味深い指摘だ。ゴルバチョフは、ペレストロイカ以上にチェルノブイリ原発事故こそがソ連崩壊の真の原因だったと振り返っている。
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