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量子と情報 ―量子の実在と不確定性原理―

, 小澤正直

によって 小澤正直
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内容紹介 存在論と認識論をまたぐ量子力学の展開と、超情報化社会のテクノロジーが出会う、驚異の交差点! 量子コンピュータや量子暗号の技術的イノベーション、そしてそれらのアイディアを生み出し、 また、そのようなアイディアに触発されて進展しつつある量子力学の新しい姿とは? 内容(「BOOK」データベースより) 量子コンピュータや量子暗号の技術的イノベーション、そしてそれらのアイディアを生み出し、また、そのようなアイディアに触発されて進展しつつある量子力学の新しい姿とは? 著者について [著者] 小澤正直(おざわ・まさなお) 1950年東京都生まれ。数学者。東京工業大学理学部卒業。同大学院理工学研究科博士課程修了。 専門は量子基礎論、量子情報科学。名古屋大学名誉教授。 ハイゼンベルクの不確定性原理を表す不等式の破れを正した「小澤の不等式」で世界的に知られている。 2013年に中日文化賞、2015年に紫綬褒章を受章。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 小澤/正直 1950年東京都生まれ。数学者。東京工業大学理学部卒業。同大学院理工学研究科博士課程修了。専門は量子基礎論、量子情報科学。名古屋大学名誉教授。ハイゼンベルクの不確定性原理を表す不等式の破れを正した「小澤の不等式」で世界的に知られている。2013年に中日文化賞、2015年に紫綬褒章を受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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本書は5章よりなるが、最初の3つの章がとくに迫力がある。しばらく前に石井茂の「ハイゼンベルクの顕微鏡」(日経BP、2006)が出て以来、ハイゼンベルクの「不確定性原理」の不備をただして書き換えた「小澤の不等式」は一般にも知られるようになってきた。しかし、小澤さん本人による叙述は、本人しか知らない事実もふんだんに語られて面白いし、何しろ迫力がまるで違う!それが第2章である。それの前置き、導入部分が第1章であり、第3章で取り上げられるフォン・ノイマンの「測定理論」の予告も含まれている。著者が不確定性原理の見直しを始めたのは、一般相対性理論が予言する重力波の検出にあたって使われる「重力波アンテナ」における感度の限界の問題である。地球に届く微小な重力波を検出するには、不確定性原理にかかるかかからないかのレベルの限界が大問題になるわけ。で、著者の業績は、「測定誤差」と(統計的な)「標準偏差」という二つの異なる概念を混同していたハイゼンベルクの式を、その混同を取り除いた正しい形に書き換えたことにある。この「概念的な混同」のたぐいは、科学の歴史においていくつか見られるが、「原理」という名のもとでいちど定着すると「偏見」のたぐいとなって、訂正するには相当な手間がかかる「難題」となる。著者の苦闘の跡をしっかりと読んでみる値打ちあり!第2章で語られるもう一つの「偏見」は、量子測定における「反復可能性仮説」という前提である。量子力学の標準的な理論では、シュレージンガー方程式に従う決定論的な過程と、測定の際にいわゆる「波束の収縮」、すなわち系の状態が「重なり合った状態」から測定によって「一つに確定した状態」に潰れる過程とが区別され、後者の結果は確率つきでしか予測できない。しかも、そこには「同一の物理量を2回、すぐ続けて測定すれば、同一の結果が得られる」という仮定が置かれていた。これが反復可能性仮説。フォン・ノイマンの測定理論はこれに基づいている。そして、現在ではこの仮説が成り立たないとみなされているという指摘。続く第3章は、フォン・ノイマン特集号のために書かれた論文で、フォン・ノイマンの名著『量子力学の数学的基礎』の意義を解き明かす論考。これだけ深く立ち入った解説には滅多にお目にかかれない。そこで、フォン・ノイマンの本に手こずっている読者には大いに参考になるはずである。ただし、ここでは、先の「反復可能性仮説」に関わる評者の愚かな読み違いを述べるだけにとどめておきたい(他の読者にも参考になるだろう)。すなわち、「(すでに述べられたように)この仮説が現在では成り立たないとみなす著者は、測定理論の改定をどのような方向で目指そうとするのだろうか?」と、多くの読者にはここでその疑問が浮かぶ。ところが、この問題については第2章で著者の答えがすでに与えられていたのである(2−6以後)!この順序関係の逆転で、評者もつい誤解をしてしまった。最後の補章ではなく、前の章へ戻らなければならない。最後の補章のメインはボーアの「相補性」を現代的にどのように改訂できるかという試みである。著者には、これに相当の思い入れがあるように見受けられた。その理由は、評者にはよくわからなかった。アメリカの先行研究による、非相対論的量子論についてボーアの言い分をアップデートして救い上げる試みを、場の量子論(すなわち、特殊相対論と量子論を結合した理論)にまで拡張しようというのが著者と共著者の試み。しかし、すでによく知られているように、特殊相対論には古典的な「慣性系」相当の外枠(空間と時間)が前提されており、その枠の中で仮に「相補性原理」相当のものが救われたとしても、「文脈依存的」な実在像がなおも外枠依存であることに変わりはない。そこで、一般相対論でこの外枠依存を取り除いたアインシュタインの成果を考えるとき、「相補性の救済」にはあまり魅力がなさそうだとこの評者には思えるが、著者にはおそらく違うヴィジョンがあるのだろう。そして、もちろん、これが本書全体の値打ちを損なうわけではない。評者を含め、著者の大きな展望をもっと知りたいと思う読者は多いはずである。

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